Paleocene diatoms (Bacillariophyta) from the Urahoro area, eastern Hokkaido
2018年4月11日 08:38 カテゴリ:Article
嶋田智恵子・Robert G. Jenkins・山崎誠・疋田吉識・田中裕一郎・天野和孝 (2018 ) 地質学雑誌 . vol.124 (3)
概要
この論文は,新生代の海洋の一次生産者である「珪藻」の化石を北海道浦幌町に分布する「暁新世」の地層(暁新統)から報告したものである.
珪藻は現在でこそ海洋における主要な一次生産者として認識されているが,その起源は定かではなく,中生代半ばのジュラ紀か白亜紀ごろだと考えられている.その後,新生代に入って増加していくが,新生代初期の記録はあまり多くない.
今回,我々は北海道浦幌町に分布する暁新世の地層(暁新世は新生代を細分化した際の最初の時代区分)に含まれる炭酸塩団塊(ノジュール)から珪藻化石を発見した.これはこの暁新世の珪藻としては,北西太平洋域ではじめての発見である.
今後,新生代に入ってから北西太平洋域において珪藻類がどのように他の生物群集(例えば珪藻を餌とする動物類)に影響を与えていたのかなどについて検討できたらと思う.