第60話 電気炉屋
2019年4月14日 12:00 カテゴリ:兀天狗
今回,探している電気炉の条件は
・550℃付近で安定して保温できること
・外径2mmのセラミック管をムラなく加熱し,静置できること
・電気炉の外側が暑くなりすぎないこと(安全第一)
この3点が挙げられます.
まずはGoogle先生に「電気炉」を尋ねてみると,たくさんの会社を教えてくれました.
電気炉だけで(電気炉専門じゃないところもある)こんなにも会社があるのだなあと,モノづくり大国ニッポンの技術力を垣間見ました.
電気炉の温度に関しては,ホームページ上に記載されていますが,
電気炉の炉口径を2mm(外径2mm弱のセラミック管を入れられるか)に加工できるかを確認するため,各社に電話をかけていきました.
「電気炉の炉口径を2mmくらいに加工することはできますか?」
「2mmですか!!!???」
業者さんもびっくりです.
そりゃそうですよね.Φ2mm×30cm(長さはだいたい)の細長い管を550℃で加熱しようとする人はそうそういませんよね.
4社程度候補があったのですが,そのうち3社は厳しいお返事をいただきました.
やっぱり,2mmの炉口径は難しいのかな.
なんてったって,電気炉自体が小さくても20cm四方のサイズなんやもんな~.
100万円払うしかないのかな~と諦めながら,携帯電話を手に取ります.
「はい.アサヒ理化製作所でございます.」
「電気炉の炉口径を2mmくらいに加工することはできますか?」
「2mmですか...........できますよ~.」
(え!?できんの!?)
「加工費はかかりますけど,炉口径2mmくらいでしたら可能ですよ♪」
おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
神様仏様アサヒ理化製作所様!!!!!
ありがとうございます!!!!
アサヒ理化製作所さんは千葉県にある理化学機器の製造・販売を行っている会社です.
電気炉やホットプレートなど,加熱や保温などの器具に強い会社です.
話を詰めていくと,炉口径の加工は幅広く対応できるとのことで,
今回の要望を伝えると,口径を2mmにするとセラミック間が折れやすくなるので,少し広げた炉に「ある充填剤」を詰めましょうとご提案してくださいました.
ひとまず,ポンチ絵でもいいので設計図を送ってくれとのことでしたので,
人生初の設計図を作成しました(人生の設計図も作成しなければ).
モノづくりへの興味はカイムさんでしたが,作ってみるとこれまた楽しい.
「できましたー!!」
と,ジェンキンズ先生に設計図を見ていただくと,
「なんだこれは(笑)」とリジェクトされました.
絵が下手すぎて,わかりにかったらしいです.
修正した設計図を元に,メールで詰めていきます.
さすがは専門の業者さんです.
私の送った設計図を超かっこいい設計図にしてくださいました.
企業秘密なので見せられませんが,ジェンキンズ研のどこかに保管してあります.
後日,実際にアサヒ理化製作所さんの工場に伺い,電気炉作成の最終確認を行いました.
対応してくださったAさんがとても優しい方でした.
名刺をいただいたのですが,私は持っていなかったので交換はできませんでした.
学生のみなさんは,ぜひとも名刺を作っておくと良いですよ.
名刺には遊び心があっていいと思いますよ.私はアミノ酸の構造式を入れておいたのですが,アミノ酸研究者の方々には好評でした.
ほかにも,古生物学者は化石のイラストを載せられてる方もいました.
名刺は自分の顔です.
修士にもなると,たくさんの方にお会いすることもあるので,自分を覚えてもらうためにも名刺を作りましょう.
Aさんとの話し合いが終わり,これで行きましょう!!と,電気炉作成に取りかかります.
工場も案内していただきました.
工場見学って,自分が全く知らない世界が広がっていますし,けっこうおもしろいですよね.
もう一回見に行きたいくらいです.
Aさんに最寄り駅まで車で送っていただく道中に世間話をしながら,千葉を後にします.
Aさんを始め,アサヒ理化製作所の皆様,本当にありがとうございました!!
ーーーーーーーーーーーー今日から使える英語表現ーーーーーーーーーーーー
I have something to say 「ちょっといいですか」