第53話 Gault clay Formation
2019年2月24日 12:00 カテゴリ:兀天狗
翌朝,イングリッシュブレックファストを食べ終え,フィールドへ向かいます.
今回のフィールドは,イギリスの海岸に露出しているGault clay Formation(Middle ~ Late Albian)です.
Gault clay Formationは,白亜紀の由来となった"チョーク層"の下部に位置する青灰色泥岩の層準であり,ヨーロッパでも有数の化石産地として有名です(e.g. Gallois et al., 2016).
殻体が保存されている軟体動物化石が多数産出しているそうです.
北海道では,殻体が残っておらず,印象化石のみでしたので,アミノ酸は微塵も残っていませんが,殻体が保存されていれば希望があります.
期待に胸を膨らませまる一方で,2年前の北海道の惨状もあったので,不安でした.
ジェンキンズ先生が「化石はわんさか出るから,誰でも見つけられるよ」というので,逆にプレッシャーがかかりました(笑).
初日は質よりも数をこなして(露頭を掘りまくって),化石をゲットすることを目的としました.
今回のフィールドは海沿いでした.
サンプリングの前に,佐藤さんからフィールドの説明を受けます.
佐藤さんは,複数のbedに分類されているGault clay Formationのどこからどこまでがどのbedなのかをフィールドを見ながら教えてくださいました.
私も論文は多少目を通してきましたが,どんな種の化石がどんな保存状態なのかばかりを気にしていたので,そこまでは把握しておりません.
フィールドに行く前の下調べを怠ってはいけませんね.
私も常に勉強不足です.
また,現地で専門書を購入するのもいいと思いました.
私は行っていないのですが,ジェンキンズ先生と佐藤さんはFolkestoneに来る道中で,「FolkestoneのGault clay Formation」みたいな本を購入されていました.
日本では手に入らないような専門書(ネットならあるかも)だからこそ有益な情報が得られるかもしれませんし,
論文よりもわかりやすくなっていると思います.
たとえて言うなら,金沢市内の書店に「金沢市にある大桑層の地質学と古生物学」って本がある感じですかね.
そんなローカルな本が異国の地で手に入るわけがありませんよね.
この出来事以来,私は出先で本屋に立ち寄り,その土地に纏わる本(自然科学,人文科学)を探す癖がつきました.
けっこう楽しいですよ(積読しちゃってますが).
さて,フィールドの全体像を把握した(つもり)ところで,化石発掘に移ります.
とりあえず,ジェンキンズ先生やカイムさん,佐藤さんが掘っている周辺から掘ります.
すると,北海道のときとは違って,ホイホイ化石が出てきました.
しかも殻体が保存されています!!!
ただ,欠けているものばかりで,完全個体はなかなか見つかりませんでした.
でもこれならいい成果が得られそう!と気持ちが高ぶってきた私はどんどん掘っていきます.
化石を掘るときにいつも気になっていたのは,どこを掘ると化石が出てきやすいのか.
カイムさんを見ていると,少ない泥岩を細かく観察して,質のいい化石をじゃんじゃん採取していました.
私は,なぜあの巨体であの繊細な作業を素早くできるのだろうかと,いつも尊敬のまなざしを送っていました.
運もあると思いますが,経験や技術から得られる感覚もあるんじゃないでしょうか.
素直に目の前のプロフェッショナルに聞けばいいものの,
彼らが掘っていないエリアからすんばらしい化石を取ってやろうと調子に乗っていたので,数をこなしました.
掘った堆積物量はたぶん誰にも負けてなかったはず.
化石の収穫率の低さも誰にも負けてなかったはず...
たくさん出てくるのはイノセラムスとクルミガイ.
破片が多い中でも,真珠構造の光沢感が残っていることがわかりました.
保存状態があまりよくない真珠構造は光沢感があまりのこっておらず,アミノ酸も保存されていない可能性が高いです(経験的に).
白亜紀でこれだけ光沢が残っている化石に感動したのを覚えています.
日も傾き始め,そろそろ終わりです.
きょう一日を通して,私の採取した泥岩にはクルミガイがたくさんいました.
完全個体はまだまだ少なかったですが,クルミガイが豊富であることが分かったので,
明日はクルミガイの完全個体を狙います!!!!
夕食はインドカレーを食べながら英会話レッスン.
クリシュトフ先生による「女性への愛情表現の重要性」の講義がはじまります!!!
ーーーーーーーーーーー今日から使える英語表現ーーーーーーーーーーーー
What kind of impression do you get when ~ ? 「どういう印象を受けますか?」
What kind of impression do you get when you hear "brilliant" ideas ?