第45話 M1の夏の真実
2019年1月 6日 12:00 カテゴリ:兀天狗
今回の話は,M1の夏の私の本音を包み隠さずお話しします.
ここで登場するとある2名の方には,読んでいて癪に障ることがあるかもしれませんので,寛大なお心をもってお読みください(個別で話してあるはずです).
もし,相違点があれば,「それ違うよ~」と言ってください.あくまで,持論なので.
今後,同じような立場になった学生さんに1‰でも力になれば本望です.
M1の夏.
私は就活と部活動(準硬式野球部)に全力で取り組んでいました.
特に8月は,選手権大会とインターンシップで3週間以上,大学に行ってなかった気がします.
それはそれで,後悔はしていませんし,そこで得られた経験は糧となっています.
自分のやりたいことに素直に取り組んでいましたが,
言い方を変えれば,「研究から逃げていた」とも捉えられます.
なぜ逃げていたのか.
いまからお話します.
私は修士研究において,GC/IRMSを改良し,アミノ酸の窒素同位体比分析ができるように,
ラボを整える仕事がありました.
最初に通らなければならない上に私の修士研究で最も難関な仕事です.
しかし,機器分析の知識(特にメンテナンス)を持ち合わせていなかった私は,炉をつなげばすぐにできるだろうと,
和三盆糖くらいあまーーーーーーーーーーーーーーーーーく考えていました.
研究の進め方を決めていくのは,私とジェンキンズ先生ですが,アミノ酸の窒素同位体比のためのGC/IRMSについては,二人ともほぼ素人です.
そこで,大変×100お世話になったのが,お隣の研究室のポスドクの方です(以降Aさんとしましょう).
Aさんは,隣の研究室が所有する数多くの機器のメンテナンスをしながら,研究を進めていらっしゃいます.
いかなるときでも,「正しい測定」ができるように,ラボを整えてくださいます.
ひとつの研究室にAさんのような存在がいるだけで,研究の質はグググッと向上すると思います.
言うならば,研究者であり,機器分析のプロフェッショナルです.
一方で,我がボスのジェンキンズ先生は,機器分析の経験もお持ちですが,
やはり専門は「化石」なので,「フィールド力」や「観察力」に長けており,問題解決に向けて多角的にアプローチしています.
機器分析はまだ勉強中とのことで.
まあ,言うならば,「ナビゲーター」ですね(ただの元学生がどの目線で語ってんだ).
研究の世界には,大きく分けて,「技術指向型」と「問題解決型」があるそうで(Chikaraishi et al., 201X),Aさんとジェンキンズ先生は,まさにそれぞれのタイプなんじゃないかと思います(詳しくはこちら).
両者のタイプがそろっている恵まれた環境に私は居たわけですが,
このことが当時の私は,パニックになってしまいました.
ジェンキンズ先生と議論して決めた方針をAさんに伝えに行ったわけですが,
機器分析の知識が乏しく,先生から言われたことを理解する前に,右から左にしゃべってしまいました.
私が上手く伝えられたのは先生と話し会った10のうち,3程度だったので,Aさんに理解していただけませんでした.
それで,Aさんに指摘されたことを踏まえて,「もう一度話し合ってきてまとめてきて」と言われました.
ジェンキンズ先生のところに戻るも,同じようなことをもう一度話し合います.
私は何か核心を忘れていたのかもしれません.
「なぜ,上手く伝わらないのか」を考え,ノートを見返したりしましたがその答えはよくわかりませんでした.
もう一度(数日後),Aさんを伺います.
しかし,またしても不合格.
この一連の中継プレーがしばらく続き,嫌気がさしてきました.
煩わしさすら感じました.
本当は,その伝わらなかった点を詰めて,頭を整理した上で話し合うことが必要であったはずですが,
私は,それを怠り,逃げました.
就活だの,部活だの,とりあえず研究から離れて,頭をすっきりさせたかった.
そして,ポーランドの試料を観察・分析しなければならないとか,
文献演習を進めなければならないとか,上手いこと理由をつけて,逃げていました.
年が明ければ,就活も本格化してくるし,先生も卒論生や修論生の指導で忙しくなることはわかっていました.
しかし,ブーブー言っている内に月日は流れ,
文献演習で忙しくなり,余裕もなくなってきました.
気づいたときには,もうクリスマスでした.
私は,M1のときに研究から逃げていたことをとても後悔しています.
物事が予定通り進むことのほうが少ないことは承知していたものの,上手く進まない現実(しかも方針)ともっと向き合わなければならなかった.
具体的にどうしたらよかったのかはわかりませんが,
わからないことは素直にわからないと言い,昨日よりも少しでも研究を進める気持ちが足りなかったですね.
終わったことは気にしても仕方がないので,そこから学んだことを活かしていきましょう.
実際,機器分析の立ち上げはとても楽しかった(しんどかったところもありますが)ので,
もし,M1の内にその面白さに気づけば,私の進路は変わっていたかもしれませんね(とかいって).
ーーーーーーーーーー今日から使える英語表現ーーーーーーーーーーーー
give a toast「乾杯の音頭をとる」
A: Would you give a toast ?
B: Sure! Cheers to Kenta's promotion!