第25話 ベストオブ勘違い
2018年7月 1日 12:00 カテゴリ:兀天狗
本当にありがとうございました。
私は力石さんの超スペシャルなご厚意によって、卒論に間に合うかどうかは微妙なラインですが、アミノ酸の窒素同位体比を測定していただけることになりました。
そのアミノ酸の窒素同位体比に向けて、試料の濃度調整を行います。
私はこの工程で、大きなミスをしてしまい、力石さんに多大なご迷惑をかけてしまうことになります(申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです)。
アミノ酸に限らず、あらゆる分析では、濃度が低すぎると検出されませんし、濃度が高すぎると検出器やカラムなどにダメージを与えてしまい、最悪の場合、故障してしまいます。
当たり前ですが、"正しい値"を示すためにも各装置、各試料に適した濃度で分析することが大切です。
さて、17話で述べたように、濃いアミノ酸を打ち込んでしまっていた私は、「とにかく、検出器にダメージを与えてはいけない」とばかり意識していました。
ましてや、装置はJAMSTEC。外部機関の所有する装置を壊すわけにはいかない(もちろん、所属機関も不用意に壊してはいけない)。
アミノ酸の希釈量を変えながら、"GC/MSで過大イオンが出ないように"濃度を調整していきます。
これが大きな勘違い。
当時は、全くわかっていませんでした(わかった気でいました)。
実はGC/MSとGC/IRMSでは必要なアミノ酸濃度が異なります。
具体的には、同位体比を測定するためには、GC/MSよりも濃いアミノ酸が必要となります。
そうとも知らず、"GC/MSで過大イオンが出ない濃度"に調整した試料を揃え、クール宅急便で、試料を送りました。
つまり、非常に濃度の低い試料をJAMSTECに送ってしまったのです!!!
今シーズン最高にやらかしてしまいました。
もっと、よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく考えて、
よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく先生と話し合うべきでした。
もし、当時の自分に会えるなら、ぶん殴ってでも、再度、濃度を調整してもらいたいです。
勘違いマンは「これで、栄養段階が推定できる!!」と期待を胸に、卒論の体裁を整えはじめます。
同位体比は、卒論発表までに間に合うのでしょうか?
私自身、同位体比が予想通りの結果ならば、卒論発表で1位を十分に狙えるデータが揃うと自負していたので、喉から手が出るほどデータが欲しかったのです。
ただ、「同位体比が測定できた場合と、できなかった場合の2パターンを作っておこう」と先生に言われたので、
2つの発表を用意することになりました(途中までは同じですが)。
一方、JAMSTECでは、力石さんが薄い試料に悪戦苦闘されたと、後日伺いました。
1年半後のGC/IRMSの改造を行ってからは、その難しさ、力石さんの偉大さを身に染みて感じることになります。
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先週は、白山登山のため、更新ができず、深くお詫び申し上げます。
今週は、番外編ですが3話更新です!!