第8話 はじめてのフィールド ~Part II 化石が採れない~
2018年4月 1日 22:35 カテゴリ:兀天狗
翌日、早速フィールドに向かいます。
みなさんの目的は、化学合成の化石ですが、私の目的は化学合成に限らず、アミノ酸を保存していそうな「保存の良い化石」を見つけることです。
ただ、そこは、北海道の山の中。生物学的な恐怖は常に持ち合わせています。
私は、ひとりで北海道の化石調査は絶対できません。
なぜなら怖いから(熊おるし)。
ひとりで調査できる人たちを、尊敬します。
さて、沢に入っていくと、次第に露頭が現れてきました。
私は、先生やKaimさん、佐藤さんの動きを見ながら、母岩を砕いていきます。
しかし、メタン湧水の化石というのは、炭酸塩のノジュールの中に含まれているので、いままでの授業で扱ったような、泥岩や砂岩のように、簡単に砕けません。硬すぎます。ハンマーでたたくと、ふつうに火花が出ます。
しかし、いくら割っても、化石が出てこないのです!!!
なぜだ!!!???
焦る私をよそに、みなさんは続々と化石を見つけていきます。
おそらく、当時の私は、メタン湧水の化石というものが、どんなものかわかっていなかったようです。
研究テーマ的にも、殻体が保存されている試料を欲していたので、印象化石や破片には目もくれず、ハンマーとタガネでひたすら叩いていたのかもしれません。
焦りと苛立ちから、どんどん母岩を割りましたが、全く出てきませんでした。
そんな中、Kaimさんジュニアが、自形のパイライト(黄鉄鉱)を見つけました!!
きれいな立方体の結晶に感動していた私に先生から一言。
「キミより、よっぽどフィールドのセンスあるよね(笑)」
ぐぉぁーーー!!!!(ToT)
嘲るような一言が、心を抉りました。
化石が採れなさすぎて、先生のイジリに返す言葉もでません。
結局、その日の収穫は0。
佐藤さんが、「"慣れ" もあるから、明日は採れるよ。」と励ましてくれましたが、果たして化石は採れるのだろうか?
私の心と北海道の空は、さらに雲行きが怪しくなってきました。
----------作者コメント----------
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