第3話 松木先生のコトバ ~大学院へ進学すべきか~
2018年2月23日 18:05 カテゴリ:兀天狗
研究テーマが決まりましたが、その裏で起きていた、大学院進学への経緯を少しお話します。
今の時代、理系学生は大学院へ進学することが当たり前のようになってきました。
金沢大学自然システム学類(2018年度から地球社会基盤学類に変わります)も進学率が60%と、大学院へ進む人が多いです。
私の周りの人も、「大学院に進学する人」が多かったです。
「とりあえず行きたい」とか「そういう世の中の流れだから」という人もいますが、
それは、好ましくないと思います(あくまで、私の考え)。
「就職活動に失敗したから進学する」というのもどうかと思っていました。
なぜ大学院に進学したいのか。
その目的がふわふわしていたことで自信がなかった。
私はプレゼンが好きなので、「学会で発表したい」という気持ちがありました。
でも、大学院に進んでやりきれるのか?
社会にでるのが遅れてしまう...
就職活動から逃げているのでは?
何より、お金はどうすんの?
などの不安要素のほうが大きかったです。
(特にお金は、入学金と学費だけでも、合わせて150万近くかかりますし、生活費とか諸々を踏まえると、ウン百万円くらいかかってきます。)
日に日に夢と不安が募っていきました。
そんなとき、私のチカラになってくださったのが、同じく金沢大学の松木篤准教授です。
松木先生は、普段から他愛もない会話をしていた仲ですが、アドバイス教員ということもあり、面談などを通して、いろいろと相談にのってくださいました。
たくさんお話をした内、印象に残った言葉をご紹介します。
兀「大学院に進んで、学会で発表してみたいんですけど、家計が火の車になりそうで...。」
松「学会で発表したい。良い目的だと思うよ。社会に出たら、学会に行くチャンスは減ると思うし、ちょっとでもやりたいって思うなら、やってみたらいいんじゃないかな。確かに、金銭的な負担はかかるけど、奨学金もあるし、減額(免除)制度もあるから、やりたいと思うなら、そういった制度を上手く利用してでもやるべきだよ。」
兀「うーん。確かに。 それと、社会に出るのが遅くなるのも不安なんです。しかも、社会人生活の開始とともに借金を背負うというのが...。」
松「そうだよね。2年遅れたとしても、人生80年で見れば、2年なんて大した事ない。借金と言っても、自分が成長するための投資をして、あとでお金を払うって考えれば、高いもんじゃないと思うよ。ちゃんとただ、その責任は自分で背負うべきだから、覚悟は必要だね。最悪、バイトすればなんとか生活はできるから仕事が見つからないことなんてないし、俺なら、やりたいことのためなら、そんな生活をしても良い覚悟をもってやっていた。」
松木先生の言葉は、少しずつ私の中の迷いを晴らし、そっと背中を押してくれました。
やりたいことが明確でない内に就職活動するよりも、「学会で発表したい」という目標に向かうほうが自分にとってプラスになる(家計はマイナスになっちゃうけど)。
松木先生と相談を重ねるたびに、不思議と自信が出てきて、進学への思いが募ってきました。
そういった中で、「アミノ酸プロジェクトをやるなら、修士までやろう(できれば博士も)」というジェンキンズ先生のテーマ提案があり、
後日、両親と相談した結果、
「やりたいならやってみなさい」という父親からの言葉を受け、進学を決めました。
大学院に進学したい人は「なぜ大学院に進学したいのか」を考えてほしいです(就職する人は「なぜ就職したいのか」)。
私の後輩達は、お互いに、「なぜ進学したいのか」、「なぜ就職したいのか」を語り合ったそうです。
これは、とても素晴らしいですよね(見習わなければ!)。
アウトプットできなければ、考えがまとまっていないということ。
口に出して説明することで、自分の考えが再認識できますよ。
進学するにしても、就職するにしても、その先の目標をもっている人は強いです。
ここまで、私の人生観みたいなことを述べてきましたが、次回からは研究生活の話になっていきますので、お楽しみに。